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雪の立山に登る – 1日目

今年のGW前半を利用して、山開き直後の立山・黒部へ行ってきました。今回の目的は、立山黒部アルペンルートを歩くこと・・ではなく、立山の登山です。自分は、春とはいえど雪山は初めてなので、兄の知り合いのワンダーフォーゲルな方々に同行させていただく形です。合計2日ではありますが、写真とともにざっとまとめました。

 

 

[4月30日・1日目]

朝6時起床。その前から日差しも強く、人も多くうろうろしている。青空の見える良い天気(タイトルの写真)

荷物の詰め込みをして外に出る。車の表面がばりばりに凍り付いている。そんなに昨夜は寒かったのか。6時半、100リットルの大きなザックにピッケルと銀マットを付けて出発。少し歩いてトロリーバスの駅へ。乗車券売り場はまだ開いてはいないが、それでも30人ほどの行列が既に出来ている。周りは軽装備の日帰りハイキングが多いが、たまに登山装備、あるいはスキーやスノーボードを抱えた人たちがいる。6時45分に売り場がオープンしたので、チケットを買う。5日間有効の扇沢-室堂ターミナル往復で、¥8,800。さらに、ザックやスキー等の大きな荷物を持っている人は、手回り品持ち込み料金として、追加で¥210。これは今から乗るトロリーバスのみのもので、しかも片道ずつしか買えないらしい。この後のゴンドラ等は、別途購入するように言われる。チケット購入後、すぐに今度は2階の改札ゲートに並ぶ。係りの人が大声を張り上げて、列を整えている。今日は始発から400人くらいの乗車が見込まれるそうだ。そして、本日目的地の室堂ターミナルは今、氷点下5℃なので、きちんと防寒対策をするよう呼びかけている。自分は、朝食用に持参したチョコデニッシュパンをもぐもぐ食べながら待つ。

改札ゲートの様子。この後ろにも大勢の人たちが並んでいる。

 

始発時刻は7時半だが、その5分ほど前に改札開始。飛行機のように、チケットのバーコードを通してゲートを通過する。階段を上がる際、大きな荷物の人は、バス列の最後尾にトラックが付くから、それに荷物を預けるように言われる。

バスは全部で4台。

トロリーではない、普通のガソリン車の小さなトラックにザックを預ける。

 

3台目のバスがガラガラだったので、そこに乗り込み、最前のフロントガラスの見える位置に座る。すぐに他の席も埋まり、後はひたすら立った状態でぎゅうぎゅうと詰め込まれる。比較的中高年の方が多いのだが、譲るべきかどうか迷っている間に、席から下りるのも大変なくらいにいっぱいに。すぐにバスは走り出す。

最初は地上を走る。電気で動くトロリーなので架線がある。

 

走り出すとすぐにトンネルへ。蛍光灯の灯る、薄暗いトンネル。非常に狭く、バス一台が通っていっぱい。結構急な坂を上ったりするので、まるで何かの折れ曲がった管の中を走っているような感じがする。それ以外は、ほとんど直線。前のバスとは少し距離を置いているので、トンネルの向こうに後姿が見えるだけ。途中、すれ違い箇所だけ、バスがようやく2台並べそうなくらいには広くなっている。約15分のバス移動の間、様々な説明がなされる。この便は始発なので、トンネル内でのすれ違いがなく、数分早く到着すること。ダム建設の歴史、そのためのトンネル掘削工事、途中に破砕帯の地層があって掘削に大変苦労したこと等。じっと聞いている間に、黒部ダム駅に到着。とりあえず今度、映画の「黒部の太陽」を見てみることにしよう。

景色はほとんど変わらない。

 

黒部ダム駅もトンネルの中。後ろのトラックから荷物を引っ張り上げ、すぐに歩き出す。ツアーの団体さんがそれぞれ点呼していたりして非常に混雑している。トンネル内を歩き、ダムに出る。とにかく広く、大きく、そして古い。細かい個所のコンクリートの崩れ具合や汚れ具合が、何だか遺跡のようで物悲しい。月並みだが「よくもまあ、こんなものを昔に作ったな・・」という思いが浮かぶ。

 周りでは、大撮影大会といった感じで、皆カメラや携帯で写真を撮りあっている。

 今の時期は放水等は行われていない。ただ大きな壁がある、といった感じ。

 

人ごみの中を、比較的早足で一直線に通り抜けていく人たちがいる。主に登山装備やスキー・スノーボードを抱えた人たちだ。どうやら早めに行かないとこの先が混んでしまうものらしい。そういうものかと、自分もダムの反対側を目指して歩く。ケーブルカーのゲートに到着すると、既に50人程度の列。ここで整理番号の書いた紙を渡される。自分は第2便のようだ。係りの人に、手回り品のチケットを再度買うように言われ、窓口で片道¥420を支払う。ここのチケットは、この後のケーブルカー、ゴンドラ、2回目のトロリーバスを含むものだそうだ。ケーブルカーの第2便は、8時15分に出発。

ケーブルカー待ち。全路線がトンネル内を通る。

 

5分ほどでケーブルカーの上の駅、黒部平に到着。降りたところで、先ほど自分の渡された整理番号は8時50分のゴンドラだと言われる。しばらく時間があるので、ザックを置いて外に出る。少し雪がちらついており、周りのお客さんはあまり外に出てこない。比較的広めの店内でコーヒーを飲んでいたり、お土産を物色していたりする。立ち食い蕎麦屋さんがあって、そこのお客さんがすすっている黒部そば¥550が、かなり魅力的に見える。ソフトクリームなども売っているが、この気温では誰も買わず。自分も何か飲みたかったので、ザックからバーナーを出してきて、外でお湯を沸かしてインスタントコーヒーを飲む。とりあえず体が温まった。8時45分ごろに集合の案内が放送で流れ、ザックに戻る。すぐに改札が開始され、ゴンドラに乗り込む。立っている人ばかりで、朝の千代田線並みにぎゅうぎゅうに詰め込まれる。

大観峰へのゴンドラ。ここまで来ると、ザックとスキー持ちが圧倒的に多い。

 

雪が強くなってきたのと、ガスが出ているのとで、残念ながらゴンドラの窓の外の景色はあまり見えない。車内では皆「見えないね」「真っ白だ」というようなことをひそひそ話している。上の、大観峰駅に到着すると、ちょうど9時発のトロリーバスが出るところなので、急ぎなら乗ってしまえと言われる。外に出ても景色は望めそうにないので、バスに乗り込む。この2回目のトロリーバスは、立山の下を通り抜けるバスで、3台編成になっている。トンネルの真ん中あたりで、反対側から来た同じく3台のバスと丁寧にすれ違う。こちらも走行中、このトンネルの歴史と室堂ターミナルの解説が車内放送で流れ続ける。

 

9時半前に室堂ターミナルに到着。既に建物内は人でごったがえしている。登山の装備やスキー等を抱えた人たちは、いそいそと準備を進め、外の吹雪とガスで真っ白な中へ飛び込んでいく。自分は、連れとの待ち合わせは14時過ぎなので、まだ相当時間がある。説明が後になったが、今回の登山で一緒に登る2人とは、この室堂ターミナルで待ち合わせなのだが、自分はここに、長野県側から黒部ダムを越えて来ている。待ち合わせの2人は、富山県側から立山黒部アルペンルートをバスで来ることになっている。

今日の宿泊地は、この室堂ターミナルから30分ほど歩いたところにある扇沢のテント場なので、せっかく時間があるし、雪の中をあるきつつ、テント場まで荷物だけ先に置きに行くことにする。登山靴に、今回山登りの為に調達したクランポン(アイゼン)を括り付け、雪の中に出る。ターミナルから歩き出すと、想像以上に雪とガスが強く、すぐに周りが真っ白になってしまう。室堂ターミナル周辺には、軽装の日とも含め、何人か人がいたのだが、歩いて5分もすると、前後には誰もいなくなってしまった。そして、真っ白で建物もすぐに見えなくなった。雪の中に建てられたフラッグと、GPSと地図を頼りに、恐る恐る進んでいく。

前後とも真っ白。人がどこにもいなくて、ちょっと不安。

 

少し歩くと、遠くに人の影が見えてくる。皆、雷鳥沢方面へ向かっているようだ。寒かったのだが、上り坂に差し掛かると、すぐに汗ばんでくる。荷物が重い。しばらく進むと、みくりが池温泉の建物の影が見えてきた。この先はしばらく硫黄臭い道が続く。「有毒ガス注意!道を外れるな」の看板が何か所も立っているが、とりあえずロープが張ってあるから、迷うことはない。りんどう池を折り返して、雷鳥荘まで上り、今度は急な山肌を一気に下る。ここまでクランポンはほぼ不要ではあったが、この斜面では歩きやすかった。ちょっとガスが晴れてきた。斜面の中央に、下から上までロープが張ってあり、そのロープが巻き上げ機で回っている。どうやらスキーの人たちのためのリフトのようだ。何人か、スキーで滑り降りている。斜面を下っていると、右手の方にテントが立ち並んでいる場所が見えてきた。ここが雷鳥沢のテント場だ。のんびり歩きすぎたらしく、50分ほどかかった。

 既にテントがいくつか。縦穴を掘ったり、雪のブロックで塀を積み上げたり、皆作業中。

 

テントはまだないので、とりあえずここにザックを置いて、バーナーでラーメンを作って食べる。相変わらず雪は降っているが、ガスは結構晴れてきている。北側の大きな斜面をスキーで滑っている人たちがいる。食後、サブザックにいくつかの荷物だけ詰めて、先ほど来た道を引き返す。りんどう池の近くで、雷鳥がピヨピヨ歩き回っており、しばらく近くで眺める。写真を撮っている人が3人。

雪の中の雷鳥。手前は白黒、見えにくいが、後ろに真っ白のがもう1羽いる。

 

室堂ターミナルに着いても、まだ待ち合わせまで1時間以上あったので、雪の大谷ウォークへ。これは、この季節の立山黒部アルペンルートの名物(?)、十数メートルにも及ぶ雪の中を、バスの通る道に合わせて除雪してあるところを歩けるもので、道の両脇にはその雪の高い壁がそびえている。随分と雪が強いので、室堂ターミナルまで来ても、外に出ない人が多いようで、人はまばら。確かに、この雪と風では、普通のコートや軽装備ではつらいだろう。

雪の大谷の、これはミニチュア版。バスの通らないところ。

 

ターミナル内に戻り、しばらくおやつのクッキーを食べながらのんびりしている。待合室のベンチにいたのだが、周りには、ツアーで来たものの、外にも出られず、かといって下山の集合時刻まで大分時間があって手持ち無沙汰な感じの中高年の方々が多い。そういえば、逆に比較的若い人は、運動靴でも、ダッフル一枚でも、平気で外を歩いていたりした(そして滑って転んでいる人も何人も見た)あるいは、ツアーで配られたと思しきお弁当屋おにぎりを、階段や床に座り込んで食べている。ターミナル内の喫茶店やレストランも混んでいた。

14時を過ぎてすぐにメールが入った。ここは、Softbankは圏外だが、auは十分電波が入るのだ。待ち合わせのSさんからで、到着したとのこと。Sさん、そしてTさんと合流する。Sさんはこれまで何度も会っているが、Tさんは初めて。荷物を少しだけ詰め替えて、すぐに雷鳥沢のテント場に向けて出発。今度はクランポンはなし。普通の道は、この方が歩きやすい。先を歩く

二人は、重いザックでもずんずん歩く。さすがワンダーフォーゲルか。

 

テント場に到着すると、先ほどよりテントの数が増えている。自分がザックをデポしていた辺りに早速テントを張る。誰もスコップやスノーソーを持っていないので、テントだけで、穴も掘らないし雪のブロックも積み上げない。テント自体はれっきとした冬用の頑丈なテントだそうで、入口が非常に狭くすぼまっている。そしてここがポイントなのだが、外張りの裾が長くなっており、ここを全面、雪に埋めてしまって、飛ばされないようにする。外張りの周りにピッケルでがりがりと溝を掘って、裾を差し込み、また雪で埋めていく。夜になって雪が締まる、というか凍ってしまえば、確かに頑丈そうだ。また、外張りと中のテント本体の空間も広めで、靴も置けるし、防寒にも有効か。

テント完成。何だか周りの快適そうなテントに比べて、ストイックにも見える。

 

仕上げに、周り3方向にそれぞれのピッケルを刺して、それでロープを張る。あとは、風が強くならないように、3人でちょっとお祈りする。どうか風が強くなりませんように、テントが飛ばされませんように。テント内に、2重に銀マットを敷いて、テント張りは終了。

元々、ロープを張る構造ではなく気休め程度かもしれないが、凍れば頑丈そう

 

16時頃テントに入り、後はお菓子を食べたりお茶を飲んだり、のんびり。18時ごろ夕食。夕食係は自分だが、メニューは3人で500gのスパゲティにレトルトのソース、それにフリーズドライのスープ。バーナーを二つ出してスパゲティを茹で、レトルトスープは温めずそのままかけて食べる。気温が低くて、なかなかお湯が沸かない。

その後はお菓子とお酒の時間。日本酒とウイスキーと焼酎。ワンダーフォーゲル部の他のOB話や、装備の話、山小屋の話、テントの話など。湯気がテントの天井で凍って、氷の粒になって落ちてくる。しばらく同じ場所に座り続けていると、銀マット越しでも体温で雪が融けて、お尻の形に窪みが出来る。夜も更けて、だんだんと気温が下がってくる。何度くらいかという話になるが、残念ながら誰も温度計を持っていない。ダウンを着て、足もシュラフカバーにくるむが、それでも足先は寒い。一緒の2人も、それぞれ重ね着をしていく。

22時ごろ就寝。ザックを端に寄せ、頭は互い違いだが3人で川の字になって寝る。3シーズンシュラフにシュラフカバーだけだったが、とにかく寒くて寒くて寒くて夜中に何度も目が覚める。銀マットを通して、下の雪の冷たさが全身に伝わってくる。うつ伏せになればお腹から胸が寒く、仰向けになれば肩が寒い。そして、下半身がずっと冷たく、震えが止まらない。もう少し広ければ、あぐらのように足先を膝裏で温められるが、それもできないなーと考えながら、何とか眠りにつこうとする。せめてエアマットを用意しておくべきだったと、真っ暗な中で後悔する。とりあえず大判マフラーを巻いている首周りだけ暖かく、少し汗ばんでいる。眠りが浅いので、何度も変な夢を見ては、また目が覚めるを繰り返す。明け方近くなって、ようやくきちんと眠った気がする。

1日目はそんな感じ。

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