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ツールドさくらがわを走る

2010年5月26日 コメントを残す

 

5月23日(日曜日)に、茨城県桜川市の「ツールドさくらがわ」に参加、自転車で走ってきました。これは、筑波山系の端っこを含む桜川市をぐるっと100km自転車で走るというイベントで、レースではなくサイクリング会のようなものです。その時の様子をまとめます。

ツールドさくらがわ

コースを南西から見下ろした図。右下がつくば山。

高度の様子。途中で筑波山系のキノコ山に、一気に登り、一気に下る。

 

朝4時に仲間と集合し、車で現地へ移動。快晴ではなく、なんとなく曇っている感じ。予報では昼過ぎから雨らしい。常磐道から桜川市へ向かう。会場に到着し、準備をし、事前のブリーフィングを受ける。この大会はここ数年は毎年参加しているが、このブリーフィングと言い、途中のエイドと言い、現地の方々の手作り感が何とも良い。その割には、道案内や交通規制もしっかりしているし、非常に走りやすい。ただ、何故か毎年雨に見舞われる。

8時から10人一組で1分ずつずらして順次スタートしていく。自分は18時15分過ぎ。この10人一組は、単にスタートをずらすのが目的なので、後でばらけて、抜いても遅れても構わない。ただ、今年はのんびり行こうと、特に集団からは出ずにそのまま走る。まずはスタート地点から西側をぐるりと回り、元のスタート地点まで折り返す15kmくらいのウォームアップ(上部のコース図の中央下部の輪っか部分)

10人が横並びでスタートを待つ。

で、1分ごとにスタート。慎重にペダルをはめて漕ぎ出す。

そこから一気にキノコ山の頂上を目指して、ひたすら坂道を登っていく。最大の斜度が20%近くにもなる場所もあるようで、急な傾斜が続く。自分は淡々とペダルをこいで上がっていくが、今回はコンパクトギアではなく、ノーマルギアの自転車で参加しているので、一番軽くしていても、ペダルを踏むのが重い。最初から一番軽い状態で、ひたすらペダルを回す。途中、自転車を降りて休んでいる人、押して歩いている人も何人か見かける。

この上りの山道は、以前にもポタリングで来たことはあるが、さすがに大会に合わせて綺麗に清掃されているようで、いつもなら大量にある小枝や葉っぱもなく、非常に走りやすい。大会関係者に感謝。山を登り切ったあたりから、今度は細かなアップダウンがしばらく続く。先ほどの長い登りと異なり、座ったままじっくり漕ぐのではなく、下った際のスピードに乗ったまま、スタンディングで一気に登り坂を上がり、また下り・・の繰り返し。リズムよくつながっていくと非常に楽しい。

登りきったところにエイドステーションがあり、そこで水を補給。ここからは一気に下りで、スピードを出しすぎないように一定人数ごとに先導が付いて、慎重に降りていく。事故防止のために25km以上出さないようにと言われる。実際、降りていくと非常に急な下りなため、なかなか25km以上は出す気がしない。ヘアピンカーブもいくつかあり、気にせずに突っ込むと、ブレーキが間に合わなさそうだ。途中、自分の2台前を行く自転車が、カーブを曲がりきれず、外側に大きく膨らんで転んでいた。大きな擦り傷を作ってはいたが、すぐにまた走り出したから、とりあえず大丈夫か。結構な時間を下るので、ブレーキにかけている指がしびれてくる。かといって緩めるとスピードが上がってしまうので、一生懸命握る形を変えながら、スピードが出ないようにこらえる。

下りが終わり、田んぼ沿いのほぼ平坦な道を抜ける、非常に気持ちの良い道に出た。下りのゆっくりに飽きていたので、ガシガシ踏んでスピードを上げていく。前方数十人の隊列を一気に抜いて振り返ると、自分の後ろにも何人か着いていた。先頭を変わってもらいたかったが、前に出る気はなさそうなので、仕方なく一人で先頭を引っ張り続ける。そして、10時半ころにはチェックポイントに到着した。距離としては約50kmのちょうど中間地点。ここで、登りでばらばらになってしまっていた他の友人を待つ。

 チェックポイントに到着。ここで一休憩。

バナナや水が用意されている。

待っている間に雨がぽつぽつと降りだしてきた。ここからは、強弱はあるものの、ずっと雨の中を走る。もうずっと平坦ばかりだが、自分はなんだか雨で気分的に急に盛り下がってしまう。他の友人たちと、ペースを落としながらコースを走る。途中、益子の村落や、桜川沿いの花が咲く中を通る。雨はポツポツ振っているが、暗くもなく、視界も良いので、いつものようにきょろきょろしながら走る。

長距離を自転車で走るのが久しぶり、あるいは前半に飛ばし過ぎたためか、残り20kmくらいで足が疲れてきてしまった。時速30kmを維持するのがつらく、ギアを軽めにしてくるくる回しながら、何とか走り続ける。お腹も空いた。エイドではバナナを5本も食べたのに。13時過ぎにゴール。ゴールしてしばらくすると、雨が本降りになり、ざあざあと音を立てて降ってきた。

前日にそこそこの距離のランニングもしていたためか、非常に疲れた。ただ、今回は雨とはいってもそんなに激しくなく、楽しめた。毎年ながら、のんびりした良いイベントだった。

カテゴリー:自転車

道志村トレイルレースを走る

2010年5月25日 コメントを残す

 

5月16日、山梨県の道志村で行われた道志村トレイルレースに参加してきました。残念ながら今回は途中でリタイアですが、それでも途中までは走りましたので、その記録です。

道志村観光協会 道志村トレイルレース

会場の道志村というのは、神奈川県の相模原の辺りから、山梨県の山中湖の辺りまで、山間部を南西へ貫く道志道という県道の途中だ。周囲には丹沢山系を初めとする山々が連なり、いかにも山間の静かな村落といった雰囲気の村。余談だが、のんびりドライブには最適なコースと言える。

 

 

ただ、場所的に交通の便は悪く、当日入りだと会場に時間内に到着できる公共交通機関はなく、自動車でも、中央道相模湖ICから更に1時間程度かかる。今回は前日に、東京のセミナーで喋る用事があったので、当初は前日入りは難しいと考え、宿も取っていなかった。しかし、意外に早く帰宅できたので、前日夕方の内に自宅を出発してしまった。会場付近のキャンプ場は飛び込みでは難しいかもしれないが、少し離れたところなら取れるだろうと考え、急遽キャンプ道具も持っての出発。結局、中央道から相模湖IC、そこから30分程走った道志道沿いにある、青根 緑の休暇村に到着。全部で2時間くらいのドライブ。そしてあっさり飛び込みで入れた。テント1張り1名1680円。

青根 緑の休暇村

オートキャンプで大勢の家族連れが賑わう中、山用の小さなテントを張って、とりあえずお風呂へ。ここはいやしの湯という温泉施設も併設されているのだ。夕飯のメニューは、ご飯1合と、うどん。トレイルののレースではひたすらエネルギーを消耗するのと、トイレに寄りにくいので、前日はいつも炭水化物しか食べない。お肉や油ものは胃に負担をかけるので厳禁だ。うまくお米が炊けるか不安ではあったが、高山ではないので、バーナーでもふんわりと美味しく炊けた。22時ごろ就寝。

 

朝4時に起床。テントをさっとたたみ、10分ほどで出発。20分強、車を走らせるともう会場の駐車場に到着。早めに来たつもりだが、駐車場の位置的にはどうやら最も遅い到着らしい。スタート地点から遠いため、駐車場からはバスが出ていて、それで会場の道志中学校まで送ってくれる。まだ少し肌寒いので、まだ着替えずに、荷物だけまとめて移動。朝ごはんに、昨夜作っておいたおにぎりを食べる。

会場の中学校に到着し、受付を済ませ、荷物置き場になっている体育館へ。スタートまでここで待機できるらしい。到着早々着替えようとするが、ここで忘れ物に気が付く。走るときに着るつもりで持ってきていたノースリーブのSKINSシャツと短パンを車に忘れてきてしまったらしい。仕方なく、その時来ていたTシャツと山用パンツの裾だけ外して、それで走ることに決める。バナナを2本食べ、もう一度トイレに行き、ストレッチをしながらスタートの7時を待つ。15分ほど前に外に出ると日が出ていて、非常にまぶしい。そして既に日向は暑い。改めて、シャツを忘れたことを後悔。

 出走前。西の方に富士山が見えている。

スタートを待つ。

走り出しの最初はしばらくアスファルトの上を走る。中学校から北上し、県道を渡り、菜畑山の登山道に入る。ここまでは緩やかな傾斜で、みな小走り、あるいは徒歩くらいだが、登山道に入ってすぐに大渋滞。全然進まなくなる。しばらく止まっては数歩動く、の繰り返し。もっと前からスタートするべきだったらしい。

最初は混雑していても、小走り。

渋滞して進まなくなる。

ぬかるんだ場所や急な斜面を登るから、どうしても一人ずつ慎重に進むことになる。

結局、最初の山の頂上から駆け下りる頃になって、ようやくばらけてくる感じ。ここまで1時間以上。正直、コース的にもうちょっとどうにかならないのかと思う。下りも、人が多いのでなかなか容易には抜くことが出来ず、前方に慎重な人がいると、そこから10人くらいの隊列で降りることになる。耐えかねる人は、声をかけて先に行かせてとお願いする。声をかければ、皆、道を開けてくれる。

頂上や稜線に出ると、とりあえず立ち止まって記念撮影したり、行動食を食べたり。

一息ついて、準備を整えた人から、また出発していく。

登りは膝に手を載せ、腕の力で体重を押し上げるようにしてテンポよく登る。下りは、膝でブレーキをかけることがないように、体重を流すようにして駆け下り、スピードが出過ぎたら手近な木に腕を絡ませて止める。途中、何回かつまづきかけるが、大きな転倒はなく、順調に進んでいく。ただ、そのつまづいた内の1回で、切り株に膝をぶつけ、おまけに枝に脛をひっかけて10cmほど切ってしまう。どちらもあまり痛みは感じないが、切り傷の方は結構派手に血が垂れている。

そのまま淡々と進み、前後もあまり人に挟まれなくなってきた。しかし、第1チェックポイントの手前の数kmの下りで、どうも膝が体重を支えきれていないことに気が付く。通常下るときには、膝上の筋肉がクッションのような役割で体重を支えてくれるのだが、どうやらそこに力が入らず、下半身がカクンと落ちることが多くなってきている。登りは特に問題なさそうだが、また下りに差し掛かると、どうにも走りにくい。どうやら膝をぶつけたのがいけなかったらしい。

人が閑散としてきた。

第1チェックポイントまで1kmを切ったあたりからぐるぐると考える。このまま走ることもできるし、気にせず続けるか、それともリタイアするか。リタイアするにしても、膝以外はまだ全然問題なさそうだし、まだ第1チェックポイントだし、制限時間よりもはるか手前だし。かといって、もしこのまま続けて故障でもしたら、ここから2,3か月、隔週のように続く他の山のレースやトライアスロンに響くな・・。

結局、第1チェックポイントで係りの人にリタイアしたい旨を知らせる。どうやらリタイア第一号のようだ。「早めなのに何故?」と聞かれ、膝を痛めた旨を伝える。第1チェックポイントは22km。ちょうど半分だけ走った感じだ。ハーフの部の人たちは、ここがゴール。こんなことならハーフにしておけば良かったなどと考える。お腹は空いているので、休憩所でバナナをもらい、水をもらい、コースを後にする。ここのチェックポイントはすぐ近くに道路があり、ここからバスで会場まで戻れるのだ。

第1チェックポイント。「リタイヤ」と告げながらも、未練がましく何だか離れられず。

会場に戻るバスの中、リタイアしてしまったことを激しく後悔する。まだ走れたんじゃないか。普通に完走できたんじゃないか。その一方で、大きな怪我とかにつながらないうちにやめてよかったような気もする。帰りのバスは、他にもリタイアの人が何人かいて、皆、気の抜けた、それでいながら憮然とした感じの表情をしている。自分も同じ顔をしているのかもしれない。大部分の他の人はハーフの完走者なので、晴れやかなさわやかな顔で、見知らぬ人同士喋っていたりする。

会場に戻ると、既にフルの先頭数人はゴールしていた。さすがに自衛隊や消防隊出身のようなトップの人たちは違う。ゴールに飛び込んでくる人たちを横目に、会場で配られているうどんを食べ、鮎を食べている内に、何だか気分は良くなってきた。完走はできなくても、走り終えた後の清々しさは味わえるものらしい。天気も非常に良い。まあ、また次を頑張ろう。

走ったのは半分で、白線の所。本当は手前の稜線を折り返してくる。

走ったコースの高低差。最高地点で高度1670mくらい。

カテゴリー:トレイルラン

雪の立山に登る – 2日目

2010年5月10日 コメントを残す

今年のGW前半を利用して、山開き直後の立山・黒部へ行ってきました。今回の目的は、立山黒部アルペンルートを歩くこと・・ではなく、立山の登山です。自分は、春とはいえど雪山は初めてなので、兄の知り合いのワンダーフォーゲルな方々に同行させていただく形です。合計2日ではありますが、写真とともにざっとまとめました。

 

[5月1日・2日目]

朝6時に起床。夜中は風が激しく、雪をテントに打ち付ける音も凄かったが、明け方近くになって静かになったような気がする。代わりに、明るくなるかならないかの頃から、外を歩く音やテントを撤収する音、人の歩く音がしていた。

シュラフを片付け、お湯を沸かして朝食を食べる。ランチパック、コーヒー、スライスチーズとハム、それにPowerOn(だったか?)の栄養クッキー。食べるととりあえず体は温まるものだ。

テントの外は見渡す限り真っ白。隣近所のテントの影しか見えない。なかなか霧が晴れないので、テントの中でぼんやり。7時半頃になると、少し視界が開けてきた。上空も雲は多いが、すごい勢いで流れており、隙間も多くなってきた。タイミングが合えば晴れそうだ。8時を目途に出発しようということになる。

 

周りが良く見えるようになった。向こうの山には日が差している。

 

テントに戻ってくる前提で、歩くための準備を整える。
着るものとしては、まずアンダーにSKINSのロングスリーブ上下とユニクロのヒートテックインナー、ミドルレイヤーにナイキの冬ランジャケット、そしてアウターにコロンビアの防風防水ジャケとパタゴニアの防水パンツ。Scarpaの山靴Summit GTX Liteに、12本爪のクランポンを付け、雪用のスパッツを付け、ついでにパタゴニアの山用マフラーを首にぐるぐる巻きにしておく。あと、これも冬ラン用の手袋。
荷物は、サブザックとして持ってきたトレイルラン用の10Lザックに詰め込む。レスキューキット、ツェルト、水0.5L、地図、コンパス、行動食のリッツ1袋、非常食のカロリーメイト2袋。
あとは前面で見えるように胸ベルトにGPSを括り付け、デジタル一眼を袈裟懸けにして、片手にピッケルで完成。トイレに寄ってから出発。8時10分。

歩き出し。まだフルメンバー。

 

まずは北へまっすぐ、別山にへ向かう。雪があるのを良いことに、登山道無視の直登。周りにも、同じように直登しようとしている人がいる。シールを付けたスキーで登る人、スノーシューで登る人、それにクランポンで登る人。下から見ると、白い壁面を、それぞれ思い思いのところから黒い蟻が登っていっているように見える。自分もピッケルを前に刺しては、一歩一歩進んでいく。歩き出してすぐに日が差してきた。ピッケルの握りがイマイチしっくり来なくて、何度か握りなおす。ピッケルから伸ばした紐も、何度か緩んでしまい、そのたびに腕に巻きなおす。

白壁の蟻さん。

 

最初、下の方では雪が緩いところもあり、足がくるぶしくらいまで入った。つま先から軽く蹴るように、足を入れては体を持ち上げる。荷物は軽いので、傾斜がきつくてもそんなに苦ではないが、ペースを上げると、20歩ほどで息が荒くなってくる。2人連れのうち、Sさんの足が止まっている。Tさんが声をかけると、足が痛いとのこと。風の少ない雪の上では、ある程度距離が離れていても、結構声が届く。Sさんはテントに戻るとのこと。ここからはTさんと二人で上がっていく。

空に向かって登るTさんの後姿を追いかける。

 

表面がガリガリに凍っているところも多く、クランポン初心者としてはそちらの方が楽しい。足を八の字に開き、雪面と平行にした足を、ちゃんと爪が突き刺さるように、足を置いていく。特に、壁みたいなところでは、何歩か進んでは、ちょっと息を整える。日が完全に出てきた。青空も見えるが、向かっている別山の頂は、まだ雲がかかっている。振り返ると、テント場が小さく見える。向こうの方に、みくりが池から室堂ターミナルまではっきり見える。段々暑くなってきたので、止まって、ミドルに着ていたナイキのランジャケットを脱いだ。

雲が晴れると、前方にも他の人が見えてくる。暑い。

 

気が付くと皆を追い越し、再び自分たちのみに。

 

振り返るとテントは小さく(中央左下の点々)、室堂ターミナルまでよく見える。

 

先ほどから前方にいた、スキーを担いでスノーシューで登る人を追い抜く。随分高いところまできた。ふり返ると、テント場が非常に小さく見える。室堂ターミナルから延びる、雪の大谷の曲線もよく見える。前方左手の山並みの向こうに、下界の街が見えている。山頂直前は、岩地と、ちょっとだけ茂みが見えているので、そこを迂回しながら登る。岩のあるところよりも、氷の方がきちんと爪が刺さるので歩きやすい。時計回りにちょっと巻こうとすると、剱御前小屋から別山に登ってくる人と遭遇した。どうやら登山道に入ったようだ。そこから稜線に立つと、非常に冷たく、そして強い風が南側(つまり登ってきた側)からびゅうびゅうと吹き付けてきた。指先や耳、そして上半身の体温がみるみる間に奪われていくのが分かる。あわてて今度はミドルのジャケットを着る。

風が強くなってきた。今度は寒い。

 

目の前に、はっきりと剱岳が見えている。青空を背景にしているが、たまに大きな雲が流れてきて、その姿をぼんやりとさせてしまう。何枚も写真を撮るが、なかなか納得がいかない。周りにも、三脚を構え、大判のカメラを抱えている人が5、6人いる。風が強くて、なかなか三脚が安定しないようで、うろうろと重しにする石を探していたりする。皆、一様に剱に見とれている。写真を撮っていたおじさんが「山頂すぐ手前に人がいるよ。それと右下の雪のところ」と教えてくれる。水を何口か飲んで、一休憩。でも、とにかくじっとしていると寒いので、すぐに歩き出す。

稜線から望む剱岳。なかなか写真には雰囲気までは乗らないのが残念。

 

せっかくなので、記念写真も。Tさんと剱岳。

 

今度は稜線伝いに、東へ。傾斜もあまりなく、非常に歩きやすい。歩き出してすぐにTさんが「左側は雪庇になっているから行っちゃだめだよ。右側の方を歩こう」と教えてくれる。なるほど、前方の道を見ると、左側はがけのように、だけどふわっとした感じにせり出している。足元は表面がガリガリというか、カチカチのほとんど氷そのもの。たまに、そのザラザラした部分でなく、滑らかな雪の50cmほどの筋が、稜線と平行に走っているが、そこはクレバスになっていて、ついうっかりそこを踏むと、膝上くらいまですっぽりはまってしまう。注意をして歩いてはいるが、自分もTさんもはまった。

稜線を歩く。前方に見えるのが、別山山頂。

 

クレバストラップ。手前が元からあった足跡、奥がTさんの踏み抜いた跡。

 

15分もかからず、別山の山頂と思しき場所へ。お堂が埋まっているので、多分ここが山頂だろう。他にも若い男性 1人、女性3人のパーティがいた。写真を撮りながらはしゃいでいる。ここからは東の方の、裏立山連峰(で言い方は正しいのか?)が良く見える。前にものぼったことのある鹿島槍ヶ岳や、爺が岳だ。そういえば、爺が岳山頂からも剱岳が良く見えていたと思い出す。あのとき見ていた剱岳の手前にあった山が、ちょうど今、立っている辺りなのだろう。自分たちも写真を撮ったり、しばし座り込んで休憩する。ここも風が強いが、日差しも強く、非常に気持ちが良い。

裏立山連峰を背景に記念写真。

 

自分も。

 

日当たりも良く、ちょっとのんびり。

 

別山から今度は南、真砂岳を目指す。最初の10分ほどは、非常に急な下り。先ほどのパーティが恐々と降りている横を、Tさんがひょいひょいと降りていく。自分もクランポンの爪をきちんと刺すように、勢いよく足を下ろす。ピッケルが心強い。バランスを崩さないように、カツカツと突き刺していく。比較的平坦にはなったが、稜線の右側(西側)の方を巻いていくような形で進んでいく。あまり足元が良ろしくなく、左手に持ち替えたピッケルを慎重に刺しながら歩く。耳が寒くてどうしようもなかったので、マフラーを頭に巻いてしまうことを思いつく。首に巻いたまま、スカーフのように頭にも巻きつける。随分暖かくなった。ザックの中にも軍手を入れてあったので、それも付ける。手は、風に吹かれている方よりも、ピッケルを握っている方の手が冷たくて、ちょっとしびれた感じがしていた。ザックに付けていたボトルを見ると、中の水が凍り始めている。どれだけ寒いのだろう。

トラバースが続く。ここはまだ歩きやすいが、場所によっては写真どころじゃない。

 

だんだんと天気が悪くなってきた。頭のすぐ上に雲がある。

 

真砂乗越を超えた辺りで、雲に覆われてしまった。日差しがなくなると非常に寒く、視界も随分悪くなってしまった。もくもくと進んでいく。足元は相変わらずガリガリだが、やはりクレバスの罠がたまにある。真砂岳を超え、雷鳥沢方面へ降りる道の分岐を過ぎ、富士ノ折立を目指す。急な登りになる手前辺りで、スキーをはこうとしている6人ほどの集団の横を通り過ぎる。視界が10m弱くらいしかなく、近寄らないと人だということが分からない。

稜線上では、風と雪で、棒が旗のようになっている。

 

前後左右が真っ白になってきた。 

 

富士の折立の山頂の手前数十メートルのあたりで、急な氷の壁に差し掛かる。這うようにしながら、ピッケルを引っかけて登っていくが、風も強く、足元も完全な氷。なかなか思うように進まない。Tさんも苦労している。爪が完全に刺さっていなかったようで、軽く滑落する。慌ててピッケルを抱えるようにして止めるが、5mほどずり落ちたようだ。スピードに乗らずに止まってよかったが、クランポンの爪を左足の脛に刺してしまった。靴の惜しくも少し上の辺りで、ジンジンと痛い。

急な氷の壁を登る。

 

しばらく二人で苦労して登ろうとするが、そもそも道を間違えたか?という話になる。地図を見てもGPSを見ても、間違っていなそう(あるいは数メートルずれているか)だが、この登りはちょっと難易度が高すぎる。少し悩み、Tさんが「いいや、このまま登っても何も見えなさそうだし、戻ろうか」と。自分は大賛成。今度は慎重に下っていく。ここが今回、一番怖かった。先ほどの分岐まで戻り、大走りのコースで下り始める。下り始めて少しすると、急に視界が開け、下のテント場まではっきりと見えるようになる。どうやら雲がかかっていたのは、稜線近くだけだったらしい。そして雲が晴れると、他にも結構周りに人がいたことに気が付く。

少し下るとお日柄もよく、見渡す限りの様々な斜面でスキーやボードを楽しむ人たちが見える。

 

雲が晴れて少し降りたあたりの緩やかなところで休憩。Tさんのドーナツを食べ、自分のリッツを食べる。水を飲もうとすると、半分近くが氷になっていて思うように飲めない。眼下には、雷鳥沢が良く見える。良い天気だ。出てきた時よりも、明らかにテントの数が増えているのが見て取れる。狭い四角い範囲に、色とりどりの点が並んでいる。雷鳥沢から剱御前へ向かうコース(雷鳥坂か)を、人がたくさん登っているようで、多めのパーティだと10人近く。ここから見ると黒い点にしか見えず、白い壁を登る蟻の行列に見える。自分たちの眼科からも、スキーを担いだ10人くらいのパーティが登ってきている。そちらへ降りていく数人のパーティが何組かいる。

分かりにくいが、稜線近くに点々と人の列が続く。

 

歩き始めると、この辺りは雪が柔らかく、ズボズボと足首くらいまで埋まる。ふわふわと非常に歩きやすく、二人とも周りの人を追い抜きながら早足で駆け下りていく。文字通り大走りだ。登山道がぐるっと北に迂回しているのを無視して、そのまま直線で降りていくと、段々と雪が深くなり、膝上くらいまで埋まるようになってしまった。ちょっと戻るが、面倒くさくなって、Tさんはお尻で一気に下まで、自分は大股で飛び跳ねるようにズボズボと駆け下りる。転んでも痛くなさそうだし、スパッツから雪も入ってこないし、とりあえず何も怖くはない。賽の河原をのんびりと歩き、少し登ってテント場に到着。13時ちょうどくらい。

シリセード中。あっという間に眼下へ小さくなっていった。

 

振り返ると、スキーを担いで登る人たちが。

 

テントの数が明らかに多くなっており、所狭しと立っている。他にも、これから組もうと場所を探している人たちもいる。Sさんと合流し、スパッツやアイゼンを干しながら、テントの中でお湯を沸かす。テントは既に外張りが外されていた。天気が良いので、干したりしてくれていたようだ。山の上の様子を話す。充足感。

テント村がテント街に。

 

山行としては以上。

この後が慌ただしかった。この日に下山して車で移動、夜に長野駅で人を拾って妙高高原の小屋に向かう予定だったのだが、「長野駅の待ち合わせは何時?」と聞かれ、「17時半です」と答えると、「え、今からでも間に合うのは難しいんじゃないか」と。「この後、室堂ターミナルを14:15のトロリーバスに乗っても、間に合うかどうか微妙だよ」だそうだ。時間の読みが甘かったか。なんとなく、下りの方が登りよりも空いていると考えていたのだが。「テント畳むのはやっておくから、14:15のトロリーバスに乗るため、今すぐ出た方が良いよ」という言葉に甘え、荷物をメインのザックに詰め、テント場を出る。この時13時40分。30分以内に室堂ターミナルに着くのは、正直きつい。登りだし。

スキーの人たちが降りる斜面横を必死に駆け上がり、汗びっしょりになりながらミクリガ池温泉前を通り抜ける。あと5分。室堂ターミナル前は、天気も良いせいか、普通の格好をした人が大勢いる。先ほどから上を飛び回っていた警察のヘリコプターが、ちょうど目の前で室堂ターミナル前の広場に降りていくのが見える。そういえば、先ほどのテントの中で、雪崩があって、10人くらいのどこかの学生だかOBだかのパーティが巻き込まれたという話を聞いた。死者も出たとのこと。室堂ターミナルに飛び込み、階段を下り、窓口に到着すると14時12分。「乗れますか」と聞くと「団体さんではないですよね。でしたらどうぞ」と言われる。手回り品のチケットを窓口にちょっと割り込ませてもらって買い、改札を通り、整理券を受け取りつつバスに乗る。開いていた席に座り、ほっと一息。どうにか間に合った。座ったらすぐにバスは走り出した。汗が止まらない。

その後、ゴンドラでは整理券番号で30分ほど待たされたが、ケーブルカーと最後のトロリーバスは、どちらも駅に着くとすぐに乗れるという具合。扇沢に駐車してあった車に戻った時、時刻は16時の10分前だった。すぐに荷物を詰め込み、走り出す。

信濃大町の方まで戻り、大町街道の県道31号を東へ。山間を抜ける道の割には、けっこうちゃんとした道。コンビニや道の駅も多い。白馬長野有料道路を抜けると、川沿いの道から段々と町中へ。結局、長野駅前には17時35分に到着。セーフの範囲だろう。その後は下道から北上、妙高高原の小屋には、19時前に到着した。国道18号から見える、黒姫山、妙高山が、夕暮れ時の空に映えて綺麗だった。

苗名小屋の夕暮れ。

——

後日談ではあるが、この文章を書いている5月10日、父からメールが入った。5月1日に立山であった雪崩とそれに伴う事故は、父の登山仲間で、自分も昔、一緒に登った(小屋で一緒になった?)ことのある人達だとのこと。

11名のグループで、立山のスキーツアーを終えての帰路、御山谷の黒部湖畔からダム方向へ20分程歩いた所で雪崩の直撃を受け、一名は左手に深い裂傷に右膝蓋骨脱臼と靭帯損傷の重症。もう一名は雪崩直後に掘り出されたものの心肺停止で、心臓マッサージを施すも蘇生せずだったとのこと。

自分たちの近い場所で、それも全くの他人ではない方たちが死傷されたことに、けっこうショックを受けている。帰ってきた今となってから、自分たちが非常に危険な場所にいたんだと強く実感させられた。亡くなられた方には、心からご冥福を祈る。

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雪の立山に登る – 1日目

2010年5月7日 コメントを残す

今年のGW前半を利用して、山開き直後の立山・黒部へ行ってきました。今回の目的は、立山黒部アルペンルートを歩くこと・・ではなく、立山の登山です。自分は、春とはいえど雪山は初めてなので、兄の知り合いのワンダーフォーゲルな方々に同行させていただく形です。合計2日ではありますが、写真とともにざっとまとめました。

 

 

[4月30日・1日目]

朝6時起床。その前から日差しも強く、人も多くうろうろしている。青空の見える良い天気(タイトルの写真)

荷物の詰め込みをして外に出る。車の表面がばりばりに凍り付いている。そんなに昨夜は寒かったのか。6時半、100リットルの大きなザックにピッケルと銀マットを付けて出発。少し歩いてトロリーバスの駅へ。乗車券売り場はまだ開いてはいないが、それでも30人ほどの行列が既に出来ている。周りは軽装備の日帰りハイキングが多いが、たまに登山装備、あるいはスキーやスノーボードを抱えた人たちがいる。6時45分に売り場がオープンしたので、チケットを買う。5日間有効の扇沢-室堂ターミナル往復で、¥8,800。さらに、ザックやスキー等の大きな荷物を持っている人は、手回り品持ち込み料金として、追加で¥210。これは今から乗るトロリーバスのみのもので、しかも片道ずつしか買えないらしい。この後のゴンドラ等は、別途購入するように言われる。チケット購入後、すぐに今度は2階の改札ゲートに並ぶ。係りの人が大声を張り上げて、列を整えている。今日は始発から400人くらいの乗車が見込まれるそうだ。そして、本日目的地の室堂ターミナルは今、氷点下5℃なので、きちんと防寒対策をするよう呼びかけている。自分は、朝食用に持参したチョコデニッシュパンをもぐもぐ食べながら待つ。

改札ゲートの様子。この後ろにも大勢の人たちが並んでいる。

 

始発時刻は7時半だが、その5分ほど前に改札開始。飛行機のように、チケットのバーコードを通してゲートを通過する。階段を上がる際、大きな荷物の人は、バス列の最後尾にトラックが付くから、それに荷物を預けるように言われる。

バスは全部で4台。

トロリーではない、普通のガソリン車の小さなトラックにザックを預ける。

 

3台目のバスがガラガラだったので、そこに乗り込み、最前のフロントガラスの見える位置に座る。すぐに他の席も埋まり、後はひたすら立った状態でぎゅうぎゅうと詰め込まれる。比較的中高年の方が多いのだが、譲るべきかどうか迷っている間に、席から下りるのも大変なくらいにいっぱいに。すぐにバスは走り出す。

最初は地上を走る。電気で動くトロリーなので架線がある。

 

走り出すとすぐにトンネルへ。蛍光灯の灯る、薄暗いトンネル。非常に狭く、バス一台が通っていっぱい。結構急な坂を上ったりするので、まるで何かの折れ曲がった管の中を走っているような感じがする。それ以外は、ほとんど直線。前のバスとは少し距離を置いているので、トンネルの向こうに後姿が見えるだけ。途中、すれ違い箇所だけ、バスがようやく2台並べそうなくらいには広くなっている。約15分のバス移動の間、様々な説明がなされる。この便は始発なので、トンネル内でのすれ違いがなく、数分早く到着すること。ダム建設の歴史、そのためのトンネル掘削工事、途中に破砕帯の地層があって掘削に大変苦労したこと等。じっと聞いている間に、黒部ダム駅に到着。とりあえず今度、映画の「黒部の太陽」を見てみることにしよう。

景色はほとんど変わらない。

 

黒部ダム駅もトンネルの中。後ろのトラックから荷物を引っ張り上げ、すぐに歩き出す。ツアーの団体さんがそれぞれ点呼していたりして非常に混雑している。トンネル内を歩き、ダムに出る。とにかく広く、大きく、そして古い。細かい個所のコンクリートの崩れ具合や汚れ具合が、何だか遺跡のようで物悲しい。月並みだが「よくもまあ、こんなものを昔に作ったな・・」という思いが浮かぶ。

 周りでは、大撮影大会といった感じで、皆カメラや携帯で写真を撮りあっている。

 今の時期は放水等は行われていない。ただ大きな壁がある、といった感じ。

 

人ごみの中を、比較的早足で一直線に通り抜けていく人たちがいる。主に登山装備やスキー・スノーボードを抱えた人たちだ。どうやら早めに行かないとこの先が混んでしまうものらしい。そういうものかと、自分もダムの反対側を目指して歩く。ケーブルカーのゲートに到着すると、既に50人程度の列。ここで整理番号の書いた紙を渡される。自分は第2便のようだ。係りの人に、手回り品のチケットを再度買うように言われ、窓口で片道¥420を支払う。ここのチケットは、この後のケーブルカー、ゴンドラ、2回目のトロリーバスを含むものだそうだ。ケーブルカーの第2便は、8時15分に出発。

ケーブルカー待ち。全路線がトンネル内を通る。

 

5分ほどでケーブルカーの上の駅、黒部平に到着。降りたところで、先ほど自分の渡された整理番号は8時50分のゴンドラだと言われる。しばらく時間があるので、ザックを置いて外に出る。少し雪がちらついており、周りのお客さんはあまり外に出てこない。比較的広めの店内でコーヒーを飲んでいたり、お土産を物色していたりする。立ち食い蕎麦屋さんがあって、そこのお客さんがすすっている黒部そば¥550が、かなり魅力的に見える。ソフトクリームなども売っているが、この気温では誰も買わず。自分も何か飲みたかったので、ザックからバーナーを出してきて、外でお湯を沸かしてインスタントコーヒーを飲む。とりあえず体が温まった。8時45分ごろに集合の案内が放送で流れ、ザックに戻る。すぐに改札が開始され、ゴンドラに乗り込む。立っている人ばかりで、朝の千代田線並みにぎゅうぎゅうに詰め込まれる。

大観峰へのゴンドラ。ここまで来ると、ザックとスキー持ちが圧倒的に多い。

 

雪が強くなってきたのと、ガスが出ているのとで、残念ながらゴンドラの窓の外の景色はあまり見えない。車内では皆「見えないね」「真っ白だ」というようなことをひそひそ話している。上の、大観峰駅に到着すると、ちょうど9時発のトロリーバスが出るところなので、急ぎなら乗ってしまえと言われる。外に出ても景色は望めそうにないので、バスに乗り込む。この2回目のトロリーバスは、立山の下を通り抜けるバスで、3台編成になっている。トンネルの真ん中あたりで、反対側から来た同じく3台のバスと丁寧にすれ違う。こちらも走行中、このトンネルの歴史と室堂ターミナルの解説が車内放送で流れ続ける。

 

9時半前に室堂ターミナルに到着。既に建物内は人でごったがえしている。登山の装備やスキー等を抱えた人たちは、いそいそと準備を進め、外の吹雪とガスで真っ白な中へ飛び込んでいく。自分は、連れとの待ち合わせは14時過ぎなので、まだ相当時間がある。説明が後になったが、今回の登山で一緒に登る2人とは、この室堂ターミナルで待ち合わせなのだが、自分はここに、長野県側から黒部ダムを越えて来ている。待ち合わせの2人は、富山県側から立山黒部アルペンルートをバスで来ることになっている。

今日の宿泊地は、この室堂ターミナルから30分ほど歩いたところにある扇沢のテント場なので、せっかく時間があるし、雪の中をあるきつつ、テント場まで荷物だけ先に置きに行くことにする。登山靴に、今回山登りの為に調達したクランポン(アイゼン)を括り付け、雪の中に出る。ターミナルから歩き出すと、想像以上に雪とガスが強く、すぐに周りが真っ白になってしまう。室堂ターミナル周辺には、軽装の日とも含め、何人か人がいたのだが、歩いて5分もすると、前後には誰もいなくなってしまった。そして、真っ白で建物もすぐに見えなくなった。雪の中に建てられたフラッグと、GPSと地図を頼りに、恐る恐る進んでいく。

前後とも真っ白。人がどこにもいなくて、ちょっと不安。

 

少し歩くと、遠くに人の影が見えてくる。皆、雷鳥沢方面へ向かっているようだ。寒かったのだが、上り坂に差し掛かると、すぐに汗ばんでくる。荷物が重い。しばらく進むと、みくりが池温泉の建物の影が見えてきた。この先はしばらく硫黄臭い道が続く。「有毒ガス注意!道を外れるな」の看板が何か所も立っているが、とりあえずロープが張ってあるから、迷うことはない。りんどう池を折り返して、雷鳥荘まで上り、今度は急な山肌を一気に下る。ここまでクランポンはほぼ不要ではあったが、この斜面では歩きやすかった。ちょっとガスが晴れてきた。斜面の中央に、下から上までロープが張ってあり、そのロープが巻き上げ機で回っている。どうやらスキーの人たちのためのリフトのようだ。何人か、スキーで滑り降りている。斜面を下っていると、右手の方にテントが立ち並んでいる場所が見えてきた。ここが雷鳥沢のテント場だ。のんびり歩きすぎたらしく、50分ほどかかった。

 既にテントがいくつか。縦穴を掘ったり、雪のブロックで塀を積み上げたり、皆作業中。

 

テントはまだないので、とりあえずここにザックを置いて、バーナーでラーメンを作って食べる。相変わらず雪は降っているが、ガスは結構晴れてきている。北側の大きな斜面をスキーで滑っている人たちがいる。食後、サブザックにいくつかの荷物だけ詰めて、先ほど来た道を引き返す。りんどう池の近くで、雷鳥がピヨピヨ歩き回っており、しばらく近くで眺める。写真を撮っている人が3人。

雪の中の雷鳥。手前は白黒、見えにくいが、後ろに真っ白のがもう1羽いる。

 

室堂ターミナルに着いても、まだ待ち合わせまで1時間以上あったので、雪の大谷ウォークへ。これは、この季節の立山黒部アルペンルートの名物(?)、十数メートルにも及ぶ雪の中を、バスの通る道に合わせて除雪してあるところを歩けるもので、道の両脇にはその雪の高い壁がそびえている。随分と雪が強いので、室堂ターミナルまで来ても、外に出ない人が多いようで、人はまばら。確かに、この雪と風では、普通のコートや軽装備ではつらいだろう。

雪の大谷の、これはミニチュア版。バスの通らないところ。

 

ターミナル内に戻り、しばらくおやつのクッキーを食べながらのんびりしている。待合室のベンチにいたのだが、周りには、ツアーで来たものの、外にも出られず、かといって下山の集合時刻まで大分時間があって手持ち無沙汰な感じの中高年の方々が多い。そういえば、逆に比較的若い人は、運動靴でも、ダッフル一枚でも、平気で外を歩いていたりした(そして滑って転んでいる人も何人も見た)あるいは、ツアーで配られたと思しきお弁当屋おにぎりを、階段や床に座り込んで食べている。ターミナル内の喫茶店やレストランも混んでいた。

14時を過ぎてすぐにメールが入った。ここは、Softbankは圏外だが、auは十分電波が入るのだ。待ち合わせのSさんからで、到着したとのこと。Sさん、そしてTさんと合流する。Sさんはこれまで何度も会っているが、Tさんは初めて。荷物を少しだけ詰め替えて、すぐに雷鳥沢のテント場に向けて出発。今度はクランポンはなし。普通の道は、この方が歩きやすい。先を歩く

二人は、重いザックでもずんずん歩く。さすがワンダーフォーゲルか。

 

テント場に到着すると、先ほどよりテントの数が増えている。自分がザックをデポしていた辺りに早速テントを張る。誰もスコップやスノーソーを持っていないので、テントだけで、穴も掘らないし雪のブロックも積み上げない。テント自体はれっきとした冬用の頑丈なテントだそうで、入口が非常に狭くすぼまっている。そしてここがポイントなのだが、外張りの裾が長くなっており、ここを全面、雪に埋めてしまって、飛ばされないようにする。外張りの周りにピッケルでがりがりと溝を掘って、裾を差し込み、また雪で埋めていく。夜になって雪が締まる、というか凍ってしまえば、確かに頑丈そうだ。また、外張りと中のテント本体の空間も広めで、靴も置けるし、防寒にも有効か。

テント完成。何だか周りの快適そうなテントに比べて、ストイックにも見える。

 

仕上げに、周り3方向にそれぞれのピッケルを刺して、それでロープを張る。あとは、風が強くならないように、3人でちょっとお祈りする。どうか風が強くなりませんように、テントが飛ばされませんように。テント内に、2重に銀マットを敷いて、テント張りは終了。

元々、ロープを張る構造ではなく気休め程度かもしれないが、凍れば頑丈そう

 

16時頃テントに入り、後はお菓子を食べたりお茶を飲んだり、のんびり。18時ごろ夕食。夕食係は自分だが、メニューは3人で500gのスパゲティにレトルトのソース、それにフリーズドライのスープ。バーナーを二つ出してスパゲティを茹で、レトルトスープは温めずそのままかけて食べる。気温が低くて、なかなかお湯が沸かない。

その後はお菓子とお酒の時間。日本酒とウイスキーと焼酎。ワンダーフォーゲル部の他のOB話や、装備の話、山小屋の話、テントの話など。湯気がテントの天井で凍って、氷の粒になって落ちてくる。しばらく同じ場所に座り続けていると、銀マット越しでも体温で雪が融けて、お尻の形に窪みが出来る。夜も更けて、だんだんと気温が下がってくる。何度くらいかという話になるが、残念ながら誰も温度計を持っていない。ダウンを着て、足もシュラフカバーにくるむが、それでも足先は寒い。一緒の2人も、それぞれ重ね着をしていく。

22時ごろ就寝。ザックを端に寄せ、頭は互い違いだが3人で川の字になって寝る。3シーズンシュラフにシュラフカバーだけだったが、とにかく寒くて寒くて寒くて夜中に何度も目が覚める。銀マットを通して、下の雪の冷たさが全身に伝わってくる。うつ伏せになればお腹から胸が寒く、仰向けになれば肩が寒い。そして、下半身がずっと冷たく、震えが止まらない。もう少し広ければ、あぐらのように足先を膝裏で温められるが、それもできないなーと考えながら、何とか眠りにつこうとする。せめてエアマットを用意しておくべきだったと、真っ暗な中で後悔する。とりあえず大判マフラーを巻いている首周りだけ暖かく、少し汗ばんでいる。眠りが浅いので、何度も変な夢を見ては、また目が覚めるを繰り返す。明け方近くなって、ようやくきちんと眠った気がする。

1日目はそんな感じ。

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雪の立山に登る – 前夜

2010年5月7日 コメントを残す

 

今年のGW前半を利用して、山開き直後の立山・黒部へ行ってきました。今回の目的は、立山黒部アルペンルートを歩くこと・・ではなく、立山の登山です。自分は、春とはいえど雪山は初めてなので、兄の知り合いのワンダーフォーゲルな方々に同行させていただく形です。合計2日ではありますが、写真とともにざっとまとめました。

 

[4月29日・前夜]

20時半に東京を自分の車で出発。千住新橋から首都高C2に入り、西新宿を経て中央道へ。時間帯のおかげもあって、全体的にガラガラ。八王子の峠を越える頃には、前後にもほとんど他の車がいなくなった。たまに1BOXやトラックが抜いていくくらい。空は快晴で、満月に近い月に照らされて、相模湖周辺の山並みが良く見える。少し肌寒く、ヒーターを入れる。

22時過ぎに双葉SAで休憩。お茶を2杯とトイレだけの15分ほど。出るときに給油、満タンに。そこから先はアップダウンとカーブが続く。たまに他の車を見かける。23時過ぎに諏訪湖SAに到着。人もまばらな中、夕飯に酵母豚カレー\550也を食べる。24時前に出発。

長野自動車道に入り、豊科ICから出る。IC周辺は24時間営業のマクドナルドやモスバーガーなどがあるが、閑散としていて、車もほとんどいない。そこを抜けて、大町方面へ北上する。しばらく走ると、看板にも「黒部ダム」という記述が出てきた。それに従い、信濃大町の西へ、林やゴルフ場を抜け、山道へぐんぐん登る。途中、月明かりに照らされて、冠雪の稜線が山影の向こうに見え始める。雲は多めだが、晴れていて、星もよく見える。爺が岳や鹿島槍への登山口前には車が3台停まっているが、今回はそこも素通り。この辺りまで来ると、道の両脇にも雪が厚く残っている。

25時ちょうどに扇沢到着。駐車場の構造がよくわからず、ぐるっと一周回ってみる。どうやらトロリーバス駅の目の前に市営の有料駐車場、その手前が無料駐車場のようだ。この時間でも、無料駐車場の駐車スペースはほとんど埋まっているが、どの車も自分と同じような前夜泊組のようで、人が寝ていたり、エンジンがかかっていたりする。探していると数台分の駐車スペースを見つけたので、そこに駐車する。外に出ると、さすがにシャツ一枚では凍えるほどに寒い。沢の音が聞こえる。

ここはauもSoftbankも携帯が通じるようだ。持参のビール1缶だけ飲んで、狭い運転席で寝る。夜中、寒くて何度も目を覚ます。エンジンをかけてヒーターをつけようか迷うが、エンジン音のうるさめな車なので周りを起こしてしまうようで出来ず。結局、ダウンを被って震えながら眠るよう努力する。

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